返信先: ロール練習場

#909
アバター画像四波平 月張
参加者

 宮本武蔵は、この戦いで、一人の人間の体力で、100人近くの相手を斬り捨てた。
 なら、それを撮るならば、役者にも実際にそれをやらせてみよう。
 こいつになら、主演の、坂口拓という男ならば、それができるはずだ、ときたもんだ。

 で、結果撮られたのが、77分間ノンカットのアクションシーン。
 宮本武蔵に襲い掛かる吉岡一門、総勢588人。

 そりゃあ、戦い始めは地味にもなるさ。
 自分の体力のペース配分、常に360度に向ける意識。
 限りなく実戦に近い思考がリアルタイムで俳優に求められる。

 邦画主流の技斗とのあり方は全く違う、一人のアクション俳優による、実験的映像と言ってもいいだろうな。

 技斗と、武の境界を融和する……あるいは、新たな可能性を探る荒行のようにも見えた。
 武の世界では、疲労の果てに真に体に身についた動きだけが無駄なく現れる境地、というのがひとつの奥義として語られるらしいが、中盤からの動きは、そういうことを連想する凄みがある。

 俺が目指すもの、学んできたものとは全く違うものだけれど。
 それでも、この試みには、アクションを志す立場として、敬意を表したいな。

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