～プロローグ～
日本のとある地方にある中高一貫の全寮制私立学校・天凌学園。
丘陵地帯に位置し森林に囲まれ、都市部と隔絶されたその学校は
年若い魔人能力者が社会性を持って世間へ羽ばたけるようにする
教育機関、あるいは「通常」を強制する牢獄である。
その天凌学園には「七奇跡」と呼ばれる不思議な現象があった。
枯れない噴水、死すらも覆す保健室、悪夢を拭い去る花……。
その中で在学生は誰も経験したことの無いと言われているのが
「50年に一度、文化祭の前夜祭にあたる開催宣言の演劇で
主役を務めた生徒が鐘を鳴らした時に奇跡が起きる」
というものだった。
くしくも今年はその50年に一度の年。
演劇の主役は投票で決められ、パートナー役を指名する権利を与えられる。
あなたはとある理由で主役を目指すことになった人間のひとりだ。
票集める方法は無法。親しくなっても信任を集めても英雄譚を作っても
プロパガンダを広めても悪評を流してもぶっ殺してもいい。
主役の栄誉を獲得したとき、あなたに巡り合う奇跡は一体何か――。