返信先: ロール練習場

#908
アバター画像四波平 月張
参加者

 好きな映画か。
 それじゃあ、俺からも一つ、新しめの作品を。

『狂武蔵』(2020)
 宮本武蔵の吉岡一門との百対一(所説あり)の決闘を描いた映画といえば、内田吐夢監督、中村錦之助 主演の『宮本武蔵 一乗寺の決斗』(1964)が有名だが、同じ題材を、全く違う角度から撮った作品だ。

 俺が紹介するってんで想像はつくと思うが、まあ、アクションメインの時代劇さ。

 何も事前知識がない状態で見始めると、あれ? と違和感を覚えると思う。
 なんか、地味じゃね? 無言で牽制してるシーン多くないか? みたいな。

 ほら、映画のアクション、特に時代劇の殺陣ってのは、瞬間瞬間に見せ場がある。
 緩急のスパンも、数十秒に一度ピークを迎えるのが一般的だ。

 それは、「そう見せた方が観客にわかりやすいから」なんだよな。

 アクション演技は「見せることが目的」で、「華が伝わらなければいけない」。
 武術は、「気付かれないことが目的」で、「真の一刃を見切られてはならない」。

 だから、映画の場合は十秒程度で細かくシーンを区切り、息を整えて、常に100%のポテンシャルで行ったアクションを繋ぎ合わせることで華の演技を連ね、キャラクターの超人性を表現したりする。

 いいとか悪いとかではなく、そういう技法があって、求められているということだ。
 けれど、この映画は、そういうことをしない。

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