「密林の伝道師」深林 さぐり プロローグ

天凌学園新聞66号
天凌学園インタビュー「あなたはなんのために主役を目指しますか?」
取材・執筆 物部鎌瀬

下衆山三舌さん
「ゲヒッ、もちろんカネでゲス。50年に一度の奇跡。この手の奇跡と言えばなんでも願いが叶うのが定番でゲスから?これで一生困らないくらいの大金を手に入れて…ゲヒッ、ゲヒヒヒヒ!女手一つでオデを育ててくれた母ちゃんに楽な老後をプレゼントでゲス!ゲヒヒ~!」

源氏津当否さん
「そりゃあ当然愛のため!パートナー役に憧れの今治鳴先輩を指定して…先輩!先輩!ル先輩!先輩ぅぅうううわぁああああああああああああああああああああああん!!!あぁああああ…ああ…あっあっー!あぁああああああ!!!先輩先輩先輩ぅううぁわぁああああ!!!あぁクンカクンカ!クンカクン(常軌を逸した状態になったので以下略)

頃去座故さん
「なんてったって、このどさくさに紛れてキルスコアを伸ばすためだェーッ!ヒャッハアアアアア!死にあべごぶぎゃああああ!」
(返り討ちにしました。新聞部舐めんな)

真締真友さん
「演劇専修科で積み上げてきた成果を試すためです…えっ私も上の人たちみたいにやらないとダメですか?」

深林さぐりさん
「やっぱり主役を目指す皆がなんというか、そういう願いと言うか、欲求があってこの主役争いに身を投じているわけじゃないですか。でも、主役の座は一人だけ、奇跡が与えられるのも一人だけなわけです。殆どの人たちは無念ってことになるわけです…だから…」

―だから?

「みんなアマゾンの奥地に行けばいいかなって、思ったんです」

―えっ…それは、どういう?

「記者さんも体験してみたほうが早いですよね!」

―うわーっ?

かくして我々探検隊はアマゾンの奥地へと向かった―

・おしらせ
次号からは「天凌学園インタビュー」に代わって「ドキュメント:物部記者とさぐりちゃんのアマゾン秘境探検隊」をお送りします。

天凌学園新聞67号
【新連載!】ドキュメント:物部記者とさぐりちゃんのアマゾン秘境探検隊
取材・執筆 物部鎌瀬
特別協力 深林さぐり
(前回のあらすじ:学園祭前夜演劇における主役を目指す人々を取材していた物部記者は、深林さぐり氏の手によってもろともにアマゾンの奥地へと転移する。そこで物部記者が見たものとは…)
(編集部注:文章の各所に乱れが見られますが、物部記者の強い意向によりそのまま掲載しております)

―アマゾンの奥地よりこんにちは!物部です!
―現在私は魔人能力『超速攻精確報道』によって文章をアマゾンの奥地より直接紙面に印刷しております!それと同時に私は今現在進行形でアマゾンヒグマに追いかけられております!私の記憶が正しければアマゾンにはヒグマは生息していなかったと思われるのですがどうなんでしょうかさぐりさん!

深林さぐり(以下深林):「実際のところっ、今まさにっ、めっちゃ追いかけてっ、きてるわけですからっ、アマゾンの奥地にはっ、まだまだ人類のっ、知らないっ、謎がっ、眠っているってことですね!」

―なるほどアマゾンの奥地には未だ人類に知られざる秘密が無数に眠っているとおおおおっと危ないヒグマの鉤爪が!後頭部より1㎝未満の距離を掠めていった感触が!紙面ではこの感触を伝えきれないことがあまりに惜しい!しかしこのままでは我々は仲良くヒグマのおやつとなること必至と思われますがいかにしてこの状況を打開するべきでしょうかさぐりさん!

深林:「命を脅かすのがアマゾンの大自然ならっ!命を救うのもまたアマゾンの大自然なのですっ!」

―あーっとそうこう言ってるうちに眼前に大河がっ!逃げ道がなあああああっと河から巨大な生物が出現!ヒグマに噛みつき、いや巻き付いております!あーっと!青白い火花!電撃!体長5mはあろうかという水棲巨大生物がヒグマに巻き付いて電撃を発しております!さぐりさん!これは一体!?

深林:「電気ウナギですね!アマゾンの水中生態系頂点の一角です」

―ウナギっていうわりには全身刺々しい鱗に覆われているといいますか!シーサーペントな気がしますがウナギのようです!ヒグマも負けじと暴れる!両者矮小な人類をほっぽりだしてして激しい取っ組み合いです!写真写真…あーっ!カメラがない!カメラ落としたああああ!記者ともあろうものがヒグマから逃げる途中にカメラ落としちゃったああああ!これじゃ新聞に写真を載せられないじゃないかああ!

深林:「それにしてもよくしゃべりますね記者さん」

―いやあ今まさに喋ったことがダイレクトに印刷されるモードでして、ヒグマに追い回されてた時に遺書代わりにしようかと思いまして。

深林:「なるほど!ジャーナリズムの精神ですね!素晴らしいです!」

―ところでひとまずの安全が確保されたところでお聞きしますが、なぜ私をアマゾンの奥地へ?

深林:「記者さんにもアマゾンの奥地の素晴らしさを体験してもらおうと思いまして。百聞は一見に如かずとも言いますし、こうして生で見てもらうのが、私の言いたいことをわかってもらう一番の方法かなと!どうですかアマゾンの奥地は!最高でしょう!」

―いやーそれは…その通りですねぇ!学園内部でしこしこインタビューとかやってんのがアホらしくなってくるくらいには紙面のネタの宝庫ですよ!どうやら私は思っていたよりもスペクタクルなのが好きだったみたいです!そういえばインタビューで思いだしました。さぐりさん、文化祭開催宣言の演劇の主役を目指すって話だったじゃないですか?それとこのアマゾンの奥地に如何なる関係が?

深林:「ああ、それですか。えーっとですね、ご覧になった通りアマゾンの奥地は素晴らしい場所でして、あらゆる人にとって望むものが手に入る、あらゆる謎と悩みの答えがある場所なわけです」

―そうなんですか!?紙面のネタがあるだけじゃなくてあらゆる謎と悩みの答えが!?

深林:「そうです!記者さんが新聞に書くネタを発見したように、ここには何でもあるんです!私はここで生活の術を学びましたし、昔病気だったのも治りましたし、えーっと他には…とにかく何でもあります!よく謎を解明するためにアマゾンの奥地に探検に行ってる人いますよね!」

―アマゾンすげえ!

深林:「それで、前夜祭の演劇の話でしたね。なんか色々あって、今年はみんな血眼になって主役を目指してるじゃないですか。それには50年に一度の奇跡がどうとかいろいろな理由があるわけですけども、」

―ですけども?

深林:「そんなまどろっこしいことしなくてもみんなアマゾンの奥地に行けばいいんですよ!!」

―なるほど!!

深林:「たった一つの主役の座を血眼になって奪い合ったりしなくても、アマゾンの大自然は何百人にでもあらゆる謎と悩みの答えを掴むチャンスをくれるんです!」

―なるほどアマゾンの素晴らしさ、身に染みてわかりました。ではさぐりさんが主役を目指すのは、その過程で競うであろう他の主役を目指す者をアマゾンの奥地に行かせるためであると。

深林:「そうですね、それがまず一つですね。んで、もう一つがですね…」

―もう一つが?

深林:「いやー、こういう言い方はどんなもんなのかな~、って思うんですけども…正直なこと言いますとね、50年に一度の奇跡だなんだってみんな言ってますけども、それはアマゾンの奥地に行くよりも上等なものなんですか?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・っていう疑問というか、好奇心といいますか…いや違うな…挑戦状。挑戦状を受けてるんですよ私は」

―挑戦状?

深林:「私はアマゾンの奥地に行くことは人間が体験しうる最高の経験だと信じているし、あらゆる問題に対する最高の回答だと信じています。だからこそ、それを差し置いて奇跡を謳う存在を見過ごしてはおけないんです…ちょっとカッコつけすぎました。嫉妬みたいなもんですね!えへへ」

―なるほど。アマゾンの奥地は最高なんだ!50年に一度の奇跡何するものぞ!というわけですね!

深林:「やめてください恥ずかしい(赤面)」

―私も、微力ながら応援させていただきますよ。

深林:「ありがとうございます。がんばりま………」

―どうしましたか?あれ、なんか揺れ…

深林:「この地鳴りは噴火の前兆です!避難です!」

―アマゾンって火山ありましたっけー!?

かくしてヒグマの脅威を逃れた探検隊は、新たなる大自然の脅威に直面する!果たして二人の運命は!?
ドキュメント:物部記者とさぐりちゃんのアマゾン秘境探検隊、次号へ続く

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