天龍寺あすかは考える。
“支持者を増やす”ことのみ考慮するならば
向かうべきは理科室だろう。
連日学園新聞を賑わせる深林さぐり
四季巡家がバックにいる白露アイ
両者とも着実に支持者を増やしている。早い段階で“話し合う”必要がある。
中庭も捨てがたい。
天才の弟 四波平 月張
何でも屋 八重桜 百貨
は甘く見ていい存在ではない。
‥碧なす髪を振りかざす蒼褪めた馬も襲来するかもしれない。
彼ら彼女らが乱戦を望もうが望むまいが
決定権はこちらにある。
選択肢は多いが‥
少なくとも“主演となるために支持者を増やす”という点では
天龍寺あすかが至神かれんの誘いを受けるメリットは薄い。
薄いのではあるが。
──天龍寺あすかは考える。
「一緒に演っていただけませんか！」
──天龍寺あすかは考える。
そもそも、メリットだけを考えるならば
早々に意志を示す必要などなかった。
他者の思惑を確認した上で後出しで動くのが最適のはずだった。
──天龍寺あすかは考える。
‥彼女にしては珍しい話だが、結論が出るまで少し時間がかかりそうだ。