「そんなにじろじろボクのことを見て……鄙しいと思わないの?」
■通り名
「空虚人形」
■名前
上巳節 理織
■性別
男
■年齢(声が聞こえた10月1日時点)
13歳
■学年 / 所属(声が聞こえた10月1日時点)
天凌学園・演劇専修科・中学二年生
■部活動
モデル部
■外見
身長145cm。体重40kg。生まれつき日に当たれば赤く爛れる白磁の肌を持つ。
二次性徴を迎える前の中性的な相貌に加え、小柄な体躯から女子小学生によく間違えられる。
■性格
無言で人の顔色をうかがうタイプ。
とはいえ媚びを売るために顔色をうかがっているのではなく、
自分に好奇の視線を向ける人間から逃げるために慎重になっている。
口を開けば棘があり、その辛辣さから人を遠ざけることが多いが、
一見したか弱さからテリトリーは馴れ馴れしく侵害されがちで
本人は流されやすい自分の不甲斐なさを歯がゆく思っている。
■能力
『夢現雛祀り』
雛とは幼体であり身代わりであり祈りであり、本来はいずれ流れるものである。
――それは呪いと紙一重なのではないだろうか。
よくある瞬間移動能力の一種……だと、入学当時は本人も家族も思っていたが、
実際は「昼間は知覚できない幽霊のような分身」が自分の周囲を好き勝手に漂っており、
その分身を本体とすることで自我と肉体を再構築する能力。
(元の身体は分身のひとつに変化する)
分身は夜になると疑似的に実体化し、本体の知らないところで
付近の雄性体から搾精して分身を増やし続けている。
中性的な外見を持ち、また妖艶な魅力でもって快楽を与えてくる分身たちは
男子寮の中で七不思議(いくつあるのかは誰もわかっていない)のような存在になっている。
その真実を理織が知るのは彼にとっての「悪夢」が訪れた夜のことであった。
なお分身は個体によって「搾精元となった雄性体の身体能力×搾精した回数」と力を蓄え
強力なものもいるが、防御力はスペランカーレベルの紙装甲であり、
吹っ飛ばされれば霧散する。
また分身と入れ替わったときの身体能力は分身が備えていたものに依存する。
現在理織がわかっているのは、分身たちが「より強い理織」を
生み出そうとしていることだけである。
■プロフィール
天凌学園中等部に在籍する、存在に気づいた者の視線を奪うほどに
人形のような整った顔立ちをした少年。
声変わりをしてなお透き通った声は性別を混乱させるが、
本人はそんな己にある種の諦念を抱いている。
その容姿を買われ、連れ込まれるままにモデル部に入部し、
舞台衣装や服飾を手掛ける課程や部活、あるいは写真部などのマネキンをやっている。
見る者の感情を勝手に投影してくれる都合のいい無表情は非常に評判がいい。
しかしあらゆる側面から流されやすく従順な様子はいじめにも近い待遇を呼んでいる。
実家はそこそこ裕福だが、他の兄弟と違い浮いた存在であり、無いもののように扱われていた。
年の離れた長兄だけが理織の相手をよくしてくれて可愛がってくれていたが
まるで何かから逃げるように結婚して実家を去ってしまった。
姪が生まれてからはその居場所を奪われたように感じている。
入学当初からのルームメイトである皐鯉 鍛吾はそんな理織を守り、
盾となり、ありとあらゆる災難や噂話から遠ざけようと腐心してくれている。
理織にとっても鍛吾はかけがえのない親友であり、
数少ない学園内で心を開いている相手である。
――本当は愛に飢えており、叫びたいほどの渇望を抱えているが、
鍛吾の前ですらその本心をさらけ出すことができない。
理織にとっては、鍛吾との今の友情を失うことの方が何より恐ろしいのである。
幼少期に高熱を伴う大病を患い、それをきっかけとして魔人能力を発現した。