☆パターン①
校長先生視点で鐘捲くんの能力説明をさせたら良い感じにキャラ描写も出来るんじゃね!?と思って試したもの。
場面的には、プロローグの冒頭で鐘捲くんがヘリコプターから飛び降りた直後の場面転換からです。
全然キャラ分からないし、能力説明もただパレードの説明をするだけで描写が冗長になってただただ字数を食うので没にしました。
今回のエキシビジョンにあたってパレード描写を改変してます。そのため前後のつながりが意味不明になってます。
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天凌学園の中央に聳える長大な一本の古塔。
いつからそこにあるのか定かではない。数百年前からあると主張する生徒もいるし、一方でそうで無いという生徒もいる。
それでも、ただひとつ確かなことがある。
それは、早朝の時刻になると、塔の頂上で押耳話太留(おしみ わたる)校長先生が半裸で大鐘楼を打ち鳴らし始めることだ。
「ひいい〜っ!もう勘弁してくださいよ〜!!」
「駄目だ駄目だオラオラ!!キリキリ大鐘楼を打ち鳴らせ〜!!」
校長先生は半裸だった。そして、巨大な金属製の鐘を突き立てる手はなんと素手である。裸一貫、まさに優雅の極地とも言える所作だ。彼の泣き叫ぶ声は、鐘が鳴り響く轟音にかき消されていた。
一方で、押耳校長先生を鞭でしばくのは拷問吏だ。拷問吏のため当然、優雅な拷問マスクを被っている——覆面なのだ。その掛け声も、大鐘楼の鐘の声で掻き消されているが、それでも彼は負けじと校長を鞭でしばいていた。
校長は涙を流しながら大鐘楼を打ち鳴らす。そして、拷問吏もまた心では涙を流して校長を打ち鳴らしていた。
二人は涙を流しながら打ち鳴らす。早朝の時間、校長と拷問吏の姿に気づくものはいなかった。
その時、鐘の音を掻き消すようにワルキューレの何某を奏でながら、一台のヘリコプターが上空を飛んできた。
「あっ!ヘリだ!空から阿保坊のヘリがやってきたぞ!!」
上空を舞うヘリコプターの存在に気づいた校長先生が、嬉しそうに空に向かって手を振りはじめた。
拷問吏も校長に合わせて、ヘリコプターに向かけて手を振り始める。
「本当だ!おーい!阿保の坊っちゃまー!私たちはここまでやったんだ!!これで8000兆円の件は融通を利かせてくれますよね〜!!おーい!!」
ヘリコプターは優雅にエンジェルデコイ(天使みたいな優雅なデコイのこと)を空一面に撒き散らしながら優雅に空を舞う。
と、一陣のミサイルのようなものが着弾してヘリコプターが大爆発した。
「ああっ爆発したぞ」
立場上、校長は心配するフリをした。
だが、拷問吏は悔しそうに悪態をつく。
「いや違うな、アレはきっと坊っちゃまのパフォーマンスに過ぎない」
拷問吏の言葉に合わせるかのように、街中に隠れ潜んでいたパレードの行列が一斉に飛び出した。
「なんだこいつら、お祭り騒ぎとばかりにパレードしやがって」
「拷問吏くん、踊るんだ!この動画をYouTubeにアップして8000兆円を稼ぐんだ!我が校の今後に関わるぞ」
『ハッハッハ!ハーっハッハッハ!!』
半裸の押見校長先生と拷問吏が必死に踊る動画をスマートフォンで撮影する中、鐘捲少年が乗ったヘリコプターが、そもそもこの二人の存在に気付くことすらなく優雅に滑空しながら小学部の校舎へ向かってゆく。
「アレっ!?ヘリコプターがもう一台飛んでるぞ」
「もしかしてさっきのヘリコプターってただのヘリコプターだったんじゃ」
塔の下では生徒や街の住民たちが必死に踊っている。もうおわかりだろう、彼らは時宗の宗徒なのだ。最近流行りの踊り念仏というものを、鐘捲少年もまた踊りたくなったのである。少年は移動中に必ずこういう思いついたことをするので、彼の周囲では常に大量の人間が集まる。
後日、校長と拷問吏はペイペイで無事に8000兆円を受け取ることが出来た。
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